軍縮のための軍事費課税
国連の運営費は加盟国の経済力や支払い能力などに応じた分担率によって決めるのではなく、たとえば加盟国の国家予算に占める軍事費の1割とか累進制のようにしたらどうでしょう。
2015年の世界全体の軍事費総額は1兆6760億ドル。
対して2006~2007年の国連通常予算は約38億ドル、2009年7月~2010年6月のPKO予算は約79億ドル。これらをあわせた国連歳出でも約120億ドル。
1兆6760億ドルの1%でも167億ドルですから120億ドルはゆうに超えます。
(参考年度がばらばらなのは調べるのがめんどうで、すぐ目についた数字に飛びついてとりあげているからです。)
軍拡スパイラル
防衛が目的であるとしても軍事費の拡大は他国、とくに隣国にとっては脅威です。
自主防衛が可能な軍事力は相手国比7割と言われています。単純に軍事費や保有戦艦数が7割であればよいということではなく、指揮系統や兵站の信頼度にも大きく依存し、不確定要素をふんだんに含んでいると思いますので確立した論拠があるわけではなく、一定の目安というところでしょうが、ワシントン海軍軍縮会議やロンドン海軍軍縮会議で日本海軍が対米7割を強く主張し、7割を固辞はできませんでしたが交渉によりすり合わせが行われたということもありますから、軍事においては概ね共通認識といったところなのでしょう。
各国がこの7割を維持しようとおもえば隣国の軍拡にあわせて自国の軍事費をあげ、その動きを見た隣国はさらに軍備を整え、その情報を掴んだ隣国はさらにさらに…と順繰りに(とは限りませんが)波及して、世界全体で軍縮を目指そうという言葉がひねくれて響きわたり「わたしたちはたくさんの武器をもっているあなたたちを警戒して武器を手放すことができないのです。だから平和のためにまずはあなたたちから武器を捨てなさい。」という理想論にさえ仕立てあげられない善人を装った詭弁としかならないでしょう。
際限のない軍拡での牽制シアイ。
国家予算を圧迫しても降りられないレール。
自国が軍縮に向かっても相手の脅威が高まらないような、そしてまた軍縮が体面を傷つけず軍拡の大義を奪う理屈を提示してゆくことも必要となるでしょう。
だから、軍拡が財政的にも心情的にもデメリットとなりすすんで軍縮にむかうように、軍縮がメリットとなるように、安心を保証しつつ現実的に軍縮をすすめていくには軍事費に対して分担金を割り振るようにしたらよいのではないでしょうか。
シラミ特権潰し
その際あの国はやこの国は拒否権を発動して反対するかもしれませんから、まずはすでに問題視されている大国のみがもつ横暴ジャイアニズムな拒否権を是正することから始める必要があるでしょうね。
国連活動に不満があり分担費を払わず滞納している国もありますが、それでも軍事費に当てる資金はちゃっかりきっちりしっかりと確保しているのですから、対軍事比分担費へと変えたうえでそれでも滞納するというのであれば、これをもって「侵略意思の疑いあり」とみなし警告すようにしたらいいのではないかと思うのです。
独立連合国行政法人UN
ホッブズさんとロックさんでは考えが異なりますが、ざっくり個人が相互に契約し合い自然権を国家に移譲することを説いていると思うのですが、この措置は一部の自由が制限されるものの、より安心安全な生活と生存を保障しようとするトレードオフ。
仮想的ではありますが個人は契約をし、制限され、それで保障されています。
それなら国もそうしたらどうでしょう。
なにも主権や民族自決権を手放せというわけではありませんし、そもそもこれらのものは手放しようにも手放しようがありません。そんなことをすれば国ではなくなってしまいますもの。これは自然権・人権もおなじこと。(ただし奪われたり傀儡となったりということがないわけではありませんがね。)
カントさんも『永遠平和のために』で国連の役割や国連の担う特質としてこんなところを説いていませんでしたっけ?
現在日本で「国連」といわれる組織が「国際連合」というより「連合国」であるためカントさんの構想したものとはだいぶ隔たった箱だけ、ラッピングだけは似た組織になっているのかもしれませんね。
発言力による一国一票格差
各国それぞれが独自に海外に支援金を出すのではなく、GDPなりなんなりの経済指標をもとに国連なりが徴収して拠出するようにすれば他国への依存構造、1国を基軸とした経済圏の建設を防げるのではないでしょうか。
不正入札。不正競争防止法。国内では適用されても世界の法では打ち立てられない不思議。
軍縮と支援を両立するために軍事費に対して課税(?)し、その徴収された資金により国連の軍費を賄いつつ、その直接の出資者の見えない各国の軍費課税費を集約して脱色された資金の中から支援を必要とする国へと資金提供するようにしたらどうでしょう。
経済協力という名目の組織票買収
国の支援金には過去の清算・贖罪、相互扶助といった色がついていて無私無色ではありません。
それが一票の確保、間接的支配、影響力、依存心の醸成といったものに多分に関わり、どぎつい政治色が臆面もなく、またそれを隠そうとして"平和"や"正義"といった一般的には道徳的な金言でもって上塗りするものですから色が混ざって吐き気をもよおさせるほどしらじらしい汚辞辱句となっています。
ただ…どれだけ無色にしたところで資金援助をする際にどこから紛れ込んだのか、政治が入り込んで軋轢生みそうですけれどね。
これは国連軍を動かすとなったときもおなじこと。だれが指揮するのか?どこで軍事演習を行うのか?駐屯地は?どこを境に介入するのか?どこまで関わるか?などなど。
実効力と実力を備えた公平公正な国連軍があれば全地球包囲型抑止力となるのでしょうけれども、士気も指揮も式もあわないだろうなぁ…。
こちらもいかが?