土着の音。土でできた詩人。
「詩人」という言葉の響きに反して詩人はあんがい土くさい
わたしのように音楽に疎いと「ピアノの詩人」という響きもさることながら、単に「ショパン」という単語1つに貴族的で社交界をおもわせる高貴なものと感じ入ってしまう方は少なくないのではないかとおもいます。
でもね。ショパンさんはおもっている以上に感情的で、マズルカやポロネーズのもつそれのように、ショパンさんにも、なんというか、土着の力強さと荒々しさのような響きをたたえていたようにおもうのです。
土を着る詩人
詩人という言葉の響きには洗練された哀愁と怜悧な冷たい理知の感触を感じる方もおられるでしょう。でも詩は、ときに話し言葉を凌駕するほどとても感情的で感傷的で荒々しい生の姿をみせることがあります。むしろその方が多いくらい。
詩人のランボーさんに繊細さと高貴さとを感じる方がおられるかとおもいますが、その高貴さは貴族的なそれではないですよね?
詩人に共通する特徴は繊細さだとはおもいますが、時代を遡るほどに雄々しい詩や貴族的な高貴さを湛えた詩が多く、近代に近づくほどに荒々しく孤高な詩が多くなっています。
ドレがいい
『ロイヤル・アカデミー音楽白熱教室 第4回 主張する音楽~ショパン~』でマズルカOp.17-4を聞いて気づいたことがあります。それは「ド」を待っている自分。次の「ド」を待ちわびていること。
だからといって「ド」を単体で単音で「ドー…」と聞かされてもなんともおもいませんよ。旋律や和音のなかにあり、メロディーやハーモニーの関係のなかにおかれた「ド」。「ド」がイイ。
でも『名探偵ポワロ』のオープニング曲「ポワロのテーマ」で印象的な音は「レ」なんですよね~。
だから別段「ド」がいいといことではなくって、その曲ごとに印象的な音があるものですよね?ということなんですけれどもね。
どれ?を待ちながら
今回記事タイトルは『ゴドーを待ちながら』をもじった『「ド」を待ちながら』ですが、ポワロの「レ」も入れ込んで『「ドレー」を待ちながら』としてもよさそうなものですけれども、『奴隷を待ちながら』ってねぇ…単音を出す「土鈴」でもよかったのかな?