日本における(ひいては世界においても共通する)経済や人口や自殺といった数々の問題はルーツを一にし、その解決策は同根なのではないかとおもいます。
つまりそれは賃金。
韓国の賃金水準、日本並みに | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ
日本ではこれまで賃金が上がってゆかず将来への漠然とした不安も募ってゆき余裕を失い希望が縮退してゆきました。
お金は種々の自由を広げます。
賃金が上がらないということは個々の自由も広がりません。
そして個々の孤立は広がっていきます。
こうなると「最近の若いものはお金を使わない、飲みに行かない、欲がない」とはホントウでしょうか。
賃金・立法・遵法
ではなぜ賃金は上がってゆかなかったのでしょうか。
その原因の最も大きなものは日本の遵法意識の低さです。
賃金が上がっていかなかった原因の主なものに日本人の特徴・性格・国民性、つまり消極的や自己犠牲、同調(圧力)や寡黙といったようなものを挙げるひともいるでしょう。
むしろそのようなひとの方が多いこととおもいますが、そうであったとしても生活を守るために法はあるのです。
自分や自分の家族、子々孫々日本国民が豊かな生活を送れるように先人が闘って勝ち取ってきたのが法。
なかには誤った法もありましたが、そのときにも日本人は闘って改正してきました。
それなのに、そうして打ち立てられてきた法の実行力が低いのです。
実行力が低いのは、その実行者が法の埒外にあるということが主要因なのですが、これもどうにかしなければならない人類の問題のひとつでしょう。
といって闇雲に第三者委員会のようなものを乱立させればよいというわけではありません。それは形骸化の進化・深化でしかないのですから。
顕在化する暴力の性根
立法は確立してきましたが「ホンネとタテマエ」に代表されるように、成文化した法であってもタテマエ看板と化してしまっているものがあります。憲法ともなるとその具合がさらに増します。なかでも人権についてはひどいものです。
憲法に則った法律の違反に罰則があるのであって憲法自体に罰則はありません。世界的にも最高法規というものはそういうものではありますが、そのせいかタテマエで奉られホンネでは放置されがちです。そうならないようにするための律令なのですがね。
律、ネガティブリスト、禁制には強制力があります。それだけにそこには、それまでの“強い思い“が込められています。虐げられ抑圧されてきた人々の憤りや怒りの歴史が秘められているものです。それをタテマエに堕し形骸化するとは笑止。
(こういうことを言うと独裁政権や政情不安定な国を挙げて比較する声が挙がりますが、それはあまりに極端。あまりにはぐらかしの極地というものです。)
タテマエの前例
「前例がない」というのもタテマエ猛々しいものです。
既存の出来合いものに投資しても先細るばかりで利益は見込めないのです。
だから業界トップや特定産業に傾注せず、新興や基礎研究などを育てる方が将来世代のためにもなるのです。
そもそもトップの”流行って”いるものはある程度ほっておいても勝手に拡大して“時代”が過ぎれば勝手に廃れてゆくものなのですから。
暴力下の睡眠
睡眠学が確立・発展し、その分野において日本人のノーベル賞受賞も視野に入ってくるほど世界的にもその認識がイニシアチブを取りつつある昨今、政府・日本はいつ日本の現状に懸念を示し、どのように応じ、どれだけの確度と速度とを持って行動するのかということに最近は注目しています。
睡眠状態が常態で覚醒状態が異常なのかもしれないという仮説がにわかに浮上してきました。この一例がなくとも睡眠は生物にとって根源的なもので、控えめに言っても「健康で文化的な最低限度の生活」にとって最重要事項ではないでしょうか。
これまで「勤勉・勤労」の陰で軽視・虐待・ネグレクトされ、あまつさえ時に「怠惰・怠慢」のレッテルさえ貼られてきた日本人の睡眠(の地位)はいつ確保・保護されるのでしょうか。
睡眠に対するネガティブな印象--これまでは科学的根拠のない単なる精神論、根性論でしかなかったわけですから(それはあたかも長らくスポーツ現場において飲水を禁じていた愚行・蛮行・悪行のように)、それはまさにたんなる印象にすぎなかったのです--が、長時間労働や過労死などの温床となっています。
八時間労働制のスローガン「仕事に8時間を、休息に8時間を、やりたいことに8時間を(Eight hours labour, Eight hours recreation, Eight hours rest)」の中に睡眠は明記されてはいないのです。sleep(・hypnology)はrestの中に押し込められています。あるいは生活時間・家事育児living・life( time)がrestやrecreationに追いやられています。
日本人の睡眠時間の短さは、日本の遵法意識の低さの一つのあらわれ、その指標の一つとなっているのではないかとおもっています。
賃金あっぷあっぷなまとめ
日本がまず行うべきことは時間やお金の搾取を規制すること、そして新手で一発逆転を狙うのではなく既存の問題解決に着手することです。
しかしその実現・実行を阻止阻害している日本の問題が遵法精神が低いことです。
またそのこと以上に、法に則って行動すること、順法が伴っていないことが大問題です。
賃金あっぷあっぷな常態を脱するには何か新しいことを企図するのではなく、遵法アップアップしてゆくことが(費用もかからず安価安易でありながら)堅実確実現実的な方法であるとおもいます。
順法によって賃金がアップしてゆき種々の問題が解消されてゆきます。
するとさらに賃金がアップアップしてゆき…というサイクルが動き出すでしょう。
この始動力こそ順法。
異次元の新航路への指導力においてはリスクと株ばかりが尊重されるのですから。
人権を尊重して遵法しますか、それとも従属しますか。