あめみか

「雨はいつもわたしのみかた。」 … 思想・哲学・世迷言からイラストまで、多岐にわたってたいへんくつに綴っています。

腐敗した組織に共通する1つの定め

 標題のごとく、腐敗した組織は共通してある1つの特徴を有しています。

 それは…組織の長の任期を延長ないし撤廃していること。

 

 任期に定めを設けている理由にはさまざまありますが、その最たるものが腐敗の防止および新陳代謝の促進。

 そうであるにも関わらず、それを忌避・拒絶し、任期の延伸または破毀することは腐敗の促進および新陳代謝の防止に他なりません。新陳代謝が起こらないから陳陳堆積するばかりで新新伸展しないのは当然の理。

 

腐敗の狼煙

 任期の延長を提起することは腐敗の狼煙であり、それが実現された暁には、既に組織がそれを強行できるほどの権力を掌握してしまっているという権限不在の顕現。

 それほどまでに権勢に偏りがあり、組織・仕組み・構造としては硬直してしまっているという証。腐敗した組織あるいは独善的独裁者であるからこそ通せた無理。だから道理が引っ込んでしまう。

 

 長く続いた組織には、任期が定められるまでに血みどろの争いが繰り広げられた歴史があります。

 またそれゆえに、あわせて任期に定めがあることが権力集中による横暴や暴走を防ぐ(とまではいかないけれど延長・時間稼ぎぐらいは…)安全装置としてはたらいたヒストリーも持っています。

 

※ただし、特に古代においては、王位・帝位継承時に後顧の憂いを断つために親類縁者が処刑されることがあり、また、王や帝が崩御した際に為政者から直接下賜されるものではない(半)強制的な殉死・殉葬圧力をかけられることがあったので、これらの状況にともなう骨肉の争いを防いだり親族を守るための方策として在任期間を引き伸ばしたり永代君主となった場合もあるので、一概に悪癖・悪習は言い難いところもあります。

 

 振り返って周りを見てみますと、ここ数年、国内的にも世界的にも、任期の延長や撤廃を実行する組織が目立ちます。あの企業にこの組合、その政党にどこぞの団体。あんな法人やこんな国などなど。

 

腐敗速度を緩めるための先人の戒め

 民主政の1つのデメリットは決定・実行プロセスの遅さ。

 専制の1つのメリットは決定・実行プロセスの速さ。

 国内状況・国際情勢に対して即応が求められる時代なのだから専制だ…というのは早計かもしれません。

 任期に定めのある極めて有能有徳な君主が間違いなく徳政を敷くというのであれば専制も悪くないですが。

 

「権力は腐敗の傾向がある。絶対的権力は絶対的に腐敗する。」ジョン・アクトン - Wikipedia

 

「実際のところ、民主制は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主制以外のあらゆる政治形態を除けば、だが。」ウィンストン・チャーチル - Wikiquote

 

下限に就き、上限で尽き

 任期に関連して、組織や団体に限らず個人においても上限の定めは重要事項でしょう。たとえば免許や権利。より具体的には自動車運転免許や被選挙権などなど。

 ことによっては下限よりも上限を設定することの方がより重要であることもあります。

 経験や能力の問題ではなく腐敗や停滞を防止するためにも上限を設けた方がよいように思われるものが多々あります。

 たとえ優秀であっても長年君臨し、そのまま亡くなった場合、次代の者が優れているとは限らず、また先代とも比較され、知識や経験が育っていなく、大抵の場合は低迷期を迎えることとなります。腐敗を防ぎ次代を育てるためにも任期は定め、定まっていた方がよいでしょう。