お客様繁茂
「お客様ぁ⤴」の呼びかけに慣れません。こそばゆくよそよそしく感じてしまいます。
主客逆転
大戦前には3割弱だった被雇用者数は世紀末には8割を占めるようになりました。
自営業者の割合は比較的一定ですので、これは農業就業者数の急激な逆推移(大戦前5割強 → 世紀末0.6割)によるものでしょう。
大店や豪商、庄屋さんなどがおりましたのでなかったわけではありませんが、それでも昔は個人商店が多く、良くも悪くももうすこし横柄な接客が主流でした。
顔なじみであり、また客と店主という立ち位置が容易にかつ頻繁に替わるのでお客といえども大きな顔をすることはできず、店主といえども必要以上に卑下することはありませんでした。
ただそのぶん閉鎖的な社会だったことは否めません。
よそ者は素性が知れずどのように接していいのかわからないから、とりあえず触れないでおいて通り過ぎるのを遠目で観察していたような…。
それが産業化の大波にのみ込まれてモノのやりとりがより間接的になってくると、お客様人口が増えてきたようにおもいます。
お金を払う人はサービス・おもてなしを受けることが当たり前とおもうばかりかその権利があるのだと主張せんばかりのお客様まで生まれてきたような気がします。
誤解の潮流
お客様を決定づけたのはやはり大阪万博の広告塔、三波春男さんでしょう。
お客様は神様です。
外貨を落として日本を潤わしにやって来る外国の方々、長蛇の列もものともせず遠くからわざわざ家族でお金を散財しにやってくる国内の方々にむけて発せられた言葉ではなかったのですが、言葉が一人歩きしてお客様の盾となり武器となってしまいました。