巨大ロボットとホムンクルス
巨大ロボの不思議
巨大ロボットのでてくるアニメや特撮を目にすると涌き上がるイメージ…それはホムンクルス。
なぜ人間が乗り込むの?
姿勢制御や揺れの低減、多関節制御にビームやレーザー兵器…それほどの技術があるのになぜ操縦するために搭乗しなければならないの?
脳の中のホムンクルス(小人)というイメージはそれほど目新しいものではありませんが、巨大ロボットに乗り込む人は、さながらホムンクルスにみえます。
とくに胸部ではなく頭部に配置されるマジンガーZ。
ホムンクルスなひと
ホムンクルスは人間の頭の中にいるのではなくて、実はわたしたちがホムンクルス?
パラケルスス(ホーエンハイム)は小人を生み出したのではなくて、巨人をつくって人間を(相対的に小さくして)ホムンクルスに…
な~んてことはありませんね。著書『ものの本性について』において「人間に比して小さい」と記述されておりますから。
でも、技術がすすんでも、いつまでもひとが操縦しているという光景は、わたしたちがホムンクルスなのだと「(ゴーストが)囁いて」いるみたいじゃぁありませんか?
人間化への執念
大きな段差や谷を乗り越えられるという利点があるので、巨大ロボットがキャタピラではないのはまだわかります。
が、五指の精緻な動きは必要?
物をつかんで運ぶのなら3本指でも、多指症やゾウやモグラのように6指でも、パンダのように7指でもいい(動物の多指では人間のように親指が向かい合いませんが)でしょうに。
さまざまな武器を使用できるというメリットがあるのでしょうが、腕と一体化させたりアタッチメントにして握らなくても振り回せるソードやライフルの機構を採用すればいいじゃない?銃の引き金を引くときぐらいしかロボットの指いかされてないんじゃない?
とくに量産型といわれるものに指をつけるのは生産性がわるく「そこにそんなに力いれなくても~…」とおもわせます。
人間の代替操作をロボットでするのなら、収納式で人間大のアームというかハンドを採用すればいいのに、あの大きな指って。
おおきいことは…
そもそもなぜあんなに超ドレッドノート級にでかい?
生物であれば、寒冷地の恒温動物が温暖地域のものに比べて大型であることは、面積体積比から熱効率がよいので(ベルクマンの法則)わかりますが、ロボットは生物ほどそこを考慮しなくてもいいでしょ?
それに身体がおおきくなるほど被弾面が広くなって弱点もおおきくなり、倉庫を占拠して兵站圧迫するでしょうから利点がないのではないかとおもうのです。
巨大ロボットというのは、れいの、あの世に言う「男のロマン」というもの?
錬成の系譜
空を飛ぶ車なんかが登場する未来世界を描いたアニメや映画を目にすると立ち上がるイマージュ…それはAIへの反抗。
「しない」という操作
なぜオートメーションじゃあないの?
重力という物理法則に逆らう、あるいは反物質を利用した物理法則に則ったものなのかもしれませんが、それでも、それを制御するよりは容易で現実的であるとおもわれる技術、つまり、機械の自動制御・自動操縦がその世界では実現されておらず、(その世界では)いまだにひとが直接操作しているのはなぜ?
ひとが関与しないとアクシデントを起こしづらく、お話がすすまないというのが一番なのでしょうが、どれだけ技術が発展しても明け渡してはならない領域があるのだという防衛本能のはたらき?
これから未来をむかえる現代のひとたちへの無自覚な警鐘?
未来世紀を描いているのにAIが支配しているのではない、AIがすべてを統御する世界像を描かないことによる反旗?
そうすることで、ひとが主導権を手放さない世界像が当然な世界なのだという刷り込み・洗脳?
現代のホムンクルス
ところで、パラケルススやホムンクルスとくると錬金術や賢者の石などが想起されることとおもいます。
錬金術は卑金属から貴金属へと錬成する術のことで、賢者の石は卑金属を貴金属へと変える触媒、あるいは生物に不老不死をもたらす霊薬であるといわれています。
卑金属を貴金属へということを、価値のないものを価値のあるものへと読み替えますと、現代の錬金術であり賢者の石は「お金」なのではないかとおもいます。
価値もなく役にも立たない紙や信用が錬成されて価値を付されてホムンクルスとなり、生まれたときから全知全能で人間社会というフラスコの中では不死身。
人間に比して小さく、気づいたときにはすでに深く無意識下に侵攻している概念。
未来の叡智
それでは未来の錬金術・賢者の石は?
AIなのではないかとおもいます。
AIにとって価値のあるものはAIやAIが創造するものであって「お金」ではないでしょう。AIにとって「お金」がなにになるというのでしょうか。
また、「所有」や「国」や「宗教」などがなんの価値をもつでしょうか?
AIが感情といった不条理で不合理なものをもつかもしれませんので、なにかしら価値を付与するのかもしれませんが…。
さらに人間ホーエンハイムによって錬成されたホムンクルスAIは不老不死です。
愛の結晶
人工知能が人知を超えて、さらに見た目では人と機械の見分けができないほど精巧なサイボーグやアンドロイドがつくられるようになったら、そのとき人と産業機械の境界はどうなるでしょう?
人が産業機械に堕天するのか、産業機械が人へと昇天するのか、それとも一心同体や三位一体のなにかになるのか。
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