あめみか

「雨はいつもわたしのみかた。」 … 思想・哲学・世迷言からイラストまで、多岐にわたってたいへんくつに綴っています。

機能・形態・デザイン

生活感のない設計

 加湿器のタンクってなぜにどれもこれも縦長なんでしょう?

 

 縦に長いものだからシンクで給水しづらいったらありゃしない。

 

 いったんヤカンかなにかに水をくんで、それを介して給水すればいいのでしょうけれども、1アクション多くてめんどうだわ。

 

 加湿器を設計しているひとは自分で給水しているのかな?と疑いたくなる。

 掃除機同様加湿器も男が設計しているのではないかと疑っています。

(女の設計した掃除機もあるでしょうけど…)

 

発想はこのように

 空気清浄機能つき加湿器なんかだと大きなファンを設けつつ、とはいえ場所は取らないように極力小型でスリムな設計にしたいから、給水タンクは縦長でサイド面にってことなんでしょうけれど…にしたって給水口と注水口を別にして横長タンクにするだとか(←給水口と排水口が別だと運転中に加湿器を稼働させながら給水が可能となるんじゃない?そもそもヤカンやなにかを介して給水しなければならないとしたら、給水タンクっている?なくていいんじゃない?)、洗濯機だってななめドラムなんてのも珍しくはなくなってきたことですし、加湿器のタンクだってななめのものがあってもいいでしょうに…。

 

斜め上いくデザイン

 横ならまだしもななめて…て思うでしょうが、タンクをななめに着脱できることにはなにかしらのメリットがあるでしょうよ~なければむりやりなんかしらメリットこじつけてしまえばいいじゃないの。

 たとえば「給水タンクの着脱がカンタン!」…だとかね。

 

 "ななめ給水タンク"はサイドから差し込むタイプでもいいし、もっと大胆にフロントのど真ん中において、そのまわりをリング式のファンがまわるなんてのも近未来的な感じのするデザインになっていいんじゃない?

 リングの内側に色とりどりのLEDライトでもつけてタンクに向かって光を照射させれば、あら幻想的なむだな電飾だこと。

 

 とにかく、縦長給水タンクっていうぶさいくデザインやめれっ!

 発想の貧困さに辟易するわっ!!

 

定着するモノのカタチ

 あるモノが普及すると、はじめは「形態は(常に)機能に宿る」という発想でつくられたようなものも「機能は形態に宿る」というような逆転現象が、つまり「こんな機能だから必然的にこんな形だよね」という発想が形式化してしまうのではないかとおもう。

 たとえば「加湿器といえばこんな形をしてて、こんな機能をもっているよね」というようにね。

 

 そしてそのデザインが"定着"という名の固着に行きつき、次から次へと発表され、続々と開発・発売される"商品"は「えっと~…どこが新しいのかな?」というようなものばかり。

 

 こんなふうに思っているのはわたしだけではないのではないかとおもうのですが、いかがかしら?

 

デザイナーはどこいった?

 とかく「おしゃれな見た目」ということに目を奪われているデザイナーが多すぎるのではないかしら。

 

 見た目でなく利便性をつきつめて形態を"つくる"…のではなくて"見つける・発見する"デザイナーが増えてほしい。

 大理石の中に眠る形を掘り出す彫刻家ロダンのような(といってしまうとハードルが高く高くそびえ立って萎縮させてしまうかもしれないけれど、単に言葉の綾として)デザイナーが。

 

 利便性を追求した先には単に機能的であるということだけでなく、そこにはきっと美があるとおもう。茶の湯のような。

カントの雑な道徳伝言ゲーム

羊, 悲しそうな声, 通信, 話, 話し合う, 協議, 主張する, おかしい

「汝の意志の格率が常に同時に普遍的立法の原理として妥当しうるように行為せよ」

 ↓異訳

「あなたの道徳がいついかなるときも絶対的な道徳に適うように生きなさい」

 ↓異訳

「あなたにとっての正しさがどんなときでも万人の正しさと合致するように行動しなければならない」

 ↓異訳

「あなたの正義が状況や環境や時代に関わらず全人類にとっての正義と違わない言動をせよ」

 ↓異訳

「あなたが正しいと疑わないことがだれにとっても正しいことと同一であるようなふるまいをしなさい」

 ↓異訳

「正しいことをしなさい」

 ↓異訳

「(倫理的に世間に)恥ずかしいことをすなっ!」

 

 最後の方は伝言ゲームのように飛躍して原形からだいぶ変質した俗っぽい言葉に出来ました。

 これを反対に、「恥ずかしいことをすなっ!」から遡っていったところにカントの道徳法則・定言命法がひかえていようとはだれもおもいはしますまい。

政治家にすこしは見習ってもらいたい情報発信力

 『新世代が解く!日本のジレンマ 2018元日スペシャル 「根拠なき不安」を越えて』で望月優大さんが「不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~」という若手次官の作成したパンフレットについて触れていて気になったのでちょっとのぞいてみました。

 半年ほど前にネット上に公開されていっとき世間をにぎわせていたんですってね。知らなかったわぁ…。

 

試みへの私的評価…のようなもの

 後半に行くにつれ主張の重複が目立ち、内容もそう大したものではなく、「現代日本の問題点まとめサイト」的なもので、これを作成したのが若手官僚からなるチームによるものではなかったら、本人たちがインタビューで答えているように「ネットに埋もれて読まれな」かったことでしょう。

(このパンフレットが経産省からではなく外務省や財務省から出てきたのなら、その影響はもっと大きかったでしょうね~。)

 

 特に「んっ!?」とおもったのがp.44の「大統領選で最も信頼しているメディアは?」という米国の18歳以上3760人にインターネットを利用しておこなったアンケート調査の結果資料をあげているところ。信頼しているメディアについてたずねる調査をネットでおこなうような、そんな意見に"偏り"が出そうなちょっとあやしい資料をあげているところ残念だわ~。

 

汝の意志の格率はいずこに?

 たいした内容ではなかったといいましたが、官僚もちゃんと問題意識もっていたんだねぇ~、利己的なだけでなくちゃんとなんとか日本をよくしようと苦悩苦悶奮闘している官僚がいたんだねぇ~、ということを確認できたという点では"いい内容"であったし新奇性のあるおもしろい試みであったとおもいます。

 

 ただ、昔から入庁まもないころは意欲的だけど、そのうち変わらない・変えられないということを思い知らされ諦観をもつに至り、と同時に中堅または幹部への階段を上がっていくにつれ徐々に染まっていき、気づけば自らが若手の頃に批判的に冷ややかな視線を送っていた当の者になっていたというのがパターンだっていうからねぇ~。

 そんな昔から脈々と言われ続けていることではあるけれど、それでも方々から聞こえてくるのは「今の40代は〇〇(ピー:自重)だ」という声。もしかしたら現代はこれまでにもましてひどくヤバい状態なのかもしれませんね。

 

現代の政治家に必須のスキル!?

 内容は「現代日本の問題点まとめサイト」的なもので、よく知られた既知の問題でありますから、あらためて考えさせられたというところはあまりありませんでしたが、ただ一つ、「これって…」とおもうところがありました。それは…

 

 このような問題提起や論点整理(そしてさらには、できればその解決案や打開策)などをこのパンフレットのように視覚化して世に問うのは、ネット社会とさけばれるようになって久しい現代の政治家が本来になうことではないのかな?ということ。

 

 ネット社会・ソーシャルメディア台頭・席巻する今、政治家は最低限このパンフレットのように論旨や要旨をまとめてうまく視覚化し、世に広く提示できる能力やメディア戦略、アンテナ感度や時代性、情報発信力や自己演出力などなど…、そういったものが必要なのではないか。

 

情報発信力のボーダーライン

 このパンフレットはその基準というよりかボーダーライン。受験生の合否ラインのようなもので、最低限これぐらいのクオリティないとねっ!といったものだとおもうのです。

 

 このパンフレット以前に、このような「まとめスライド」的なものを公開している政治家がいらっしゃったとしたら、それは耳目を惹かないボーダーラインを割った完成度のものなんだとおもうよ。

 何千、何万もの票を得て当選している決して知名度も注目度も低い人物(←これはひとつの"メディア"といってもいいかもしれないね)というわけではないのに提示したものがなんの波風も立てないということは…やはりそういうことなんじゃあないのかい?

 

シルバー民主主義での忖度

 シルバー民主主義国ではそれさえもむずかしいのかなぁ…。

 

 「シルバー民主主義」なんて訴えたらシルバー世代の票を落として落選してしまうでしょうから"シルバー民主主義の中心でシルバー民主主義を叫ぶ"ことは自滅の道でしかなく、"サービス、サービス"の"ソンタク、ソンタク"で、選挙等には今なおソーシャルメディアなどのデジタル対策よりも街頭演説や地縁などのアナログ対策の方が今なお影響力があり効果的で優先されてしまうのでしょうかね。

 

 「シルバー民主主義」なんてことは口が裂けても言えないにしても、スマホやタブレットなど端末を使いこなすシルバーも増えてきていることですし、そうでなくても政治家がみずからの意見を広くわかりやすく提示することは責務のようなところがありますから、どうか政治家の皆々様におかれましてはこのパンフレット(の内容はおいといて、その形式)を参考にしていただきとうございます。