あめみか

「雨はいつもわたしのみかた。」 … 思想・哲学・世迷言からイラストまで、多岐にわたってたいへんくつに綴っています。

わたし…開祖になるっ!:失敬「私の思想書」案内

出家を飛び越して

 「一」の思想を説くひと世に数あれど、そこから体系的に世界を展開、(再)構築してみせ、さらにそこではどのような道徳が成り立つのかまでをも理をもって構成しているひとはそうそういらっしゃらないのではないか?もしかしたらそんなひとは他にいないのではないかともおもうのですが、いかがでしょう?どなたかそのような方をご存知の方いらっしゃいますか?

 

 そうでない宗教もたくさんありますが、宗教や宗派、思想や教理においてその教えの核心部は修行が完成した時、またはその後に授けられるものです。

 これは武道や伝統工芸で考えるとよりわかりやすいでしょう。

 武道では、奥義というものは最後に教わり、それで免許皆伝となります。その後は一派をなすもよし、剣客となるもよし、仕官するもよし、といったところでしょう。

 伝統工芸の世界では、一子相伝。他言無用の秘中の秘。として伝えられる秘儀といったところでしょう。

 

 いずれにせよ核心部というのは、一般的にはそうそうはじめから伝えられるというものではありません。

知の越境者―私の履歴書 (日経ビジネス人文庫)

知の越境者―私の履歴書 (日経ビジネス人文庫)

  • 作者: 白川静,梅棹忠夫,梅原猛,中村元
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2007/06
  • メディア: 文庫
 
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言葉からギリシア神話、そして文字へ

言葉から文字へ

 言語が使用され始めたのは原人の頃、およそ50万年前のことです。

 農耕や牧畜が紀元前8,000年頃より始められ、古代文明が成立したのが紀元前7,000年頃。

 資料や文献が存在しない時代を先史時代といい、紀元前5,000年頃までとされています。

 これより後の文字が発明され資料や文献が残されている時代を歴史時代といいます。

 

 文字が開発されたということは、それまでには言語がほぼ完成されていなければなりません。すると人類が言語を完成させるまでに多くの時間を要したことがうかがい知れます。

 

温暖化から文明へ

 紀元前1万年頃、4度目の氷河期が過ぎて地球が暖かくなりました。

 そして先史時代の後期、紀元前8,000年頃、西アジア周辺の高地や丘陵地帯で農耕や牧畜が始まりました。

 農耕や牧畜が進むと貧富の差が生じるようになり、やがて支配者と被支配者の社会構図が形成されていきました。

 

 紀元前4,000年から紀元前2,300年頃の間に黄河文明、メソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明といった、いわゆる古代の四大文明が成立しました。

 

ホメロスの言葉からヘシオドスの文字へ

 現存するヨーロッパ最古の文学作品でありギリシア神話の原典ともいえる叙事詩『イリアス』とその後を記した『オデュッセイア』をうたったのがホメロスです。

 ホメロスが生まれたのは紀元前9~8世紀頃、キオス島あるいは小アジアのスミュルナ出身といわれていますが、実際は不詳で実在の人物なのかどうかも定かではありません。

 

 ホメロスの存在も不詳ですが、ギリシア神話というのも不詳な存在です。

 

 ギリシア神話の成立背景には、古代ギリシア人と当時バルカン半島やエーゲ海沿岸に住んでいた先住民との関係が反映されています。

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Wikipediaがあれども…ことさらニーチェ

 フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(愛称フリッツ)は1844年10月15日、当時、新興著しかったプロシアの領土となっていたドイツのザクセン州レッケンに生まれました。

 当時のプロイセン国王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世と同じ誕生日だったためにプロシアを敬愛していたルター派のプロテスタントの牧師をしていた父カール・ルートヴィヒ(1813〜1849。36歳(ニーチェ5歳)のとき脳軟化症により永眠)によりフリードリヒ・ヴィルヘルムと名付けられました。

 母フランツィスカ(1829〜1897)は牧師の家の出身でした。

 

 ニーチェの生まれた2年後に妹のエリザーベト(1846〜1935)が、さらに2年後には弟のヨーゼフ(1848〜1850)が生まれました。

 

 ニーチェは父の死後から14歳になるまで、母、妹、母方の祖母、未婚の叔母の女性ばかり6人に囲まれてナウムブルクで育てられました。

 

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