想像返り
マネキンと人間との間には乗り越えがたい隔たりがあります。
ガラス越しであってもマネキンが動いたとしたら、またガラス越しに見ているときには動いたらいいのにと思っていたとしても、いざ実際に動いてしまうと幻滅してしまう。
現実が想像の領分を侵食して想像に帰れなくなるからでしょう。
先祖返り
想像通りの動きをするとなぜ疑いもなく、思うこともなく思いこんでいたのか。
不気味の谷のことなど一瞬たりとも頭によぎらないほど透明な盲目であることになぜ気づかないのか。
あんなに動けと願っていたのに、いざ動けば想像と違う、思っていたのと違う、そうだとは思わなかったと言って拒絶します。
かくして動けるマネキン、心をもったマネキンは、マネキンに徹する。
極力動かないように。人の想像にかなうように。
人間にならないように。
見せない想像。見えない現実。
侵食した想像を現実が侵食する。
現実も想像もいきすぎれば自らを侵食して現実も想像も見なくなる。
いきすぎた現実は現実を見せない。
いきすぎた想像もまた想像を見せない。
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