友達を知らない幽霊
わたしには友達がいない。
あいては友達といってくれるのかもしれませんんが幼少時より「友達」がわからないのです。
それがなにを意味しているのか。
知人との違いは?
知り合いでいいじゃない。
友達の定義はなんですか?
もちろん幼時にそんなこと言いませんよ。
言える年、言っても別段支障のない齢に至っただけで「友達」も徐々に土にかえりだしましたので言えること。
人並み、おそらくそれ以上に楽しい学生時代だったとおもいます。
それでも友達との薄く深い越えがたい間隙がいつもそこには横たわっていました。
顔のない記憶
そうそう。これもながらくひとに言うことはなかったけれど、いつも魂(?)的なものが身体から抜け出てて身体と合わせても魂的なものの方がちょっと小さくてピッタリ重ならない。
なにか思い出すときも夢でじぶんが登場するときも、いつも視点が右肩上方で漂う魂的な視点でみえる情景。
それでもいつもじぶんの顔はみえないの。頭や背中はみえるけど。
そのころの記憶にはぜんぶじぶんの顔がない。
じぶんの視点だから記憶に顔がないのは当然かな?
他のひとの記憶はわからないけれど、みなさんの記憶ではじぶんの顔が映ってますか?
顔がありますか?
わたしにはありません。
- 作者: エマニュエルレヴィナス,合田正人
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 1990/07
それもあってか鏡はあまり得意ではありません。
美容室では鏡と正対しないようにイスの角度を変えてもらっています。
はじめてのところでは言いだせないので寝てるフリして極力目をつぶるか雑誌に目を落としてます。
だからわたしはデューラーさんにはなれません。
デフォルト・ユーレー
幼い子には意外とあるようで離人症っていうらしいんだけど、それだったのかな?とおもう。
まわりにそういうひとがいたら、めずらしことではないんだよぉとにおわせてあげるといいかもしれませんよ。こんな仕上がりにならないように。
霊感ないのに霊的な体験をしているややこしいかんじ。
そういえばあのころ、たいていは左だけですが肘も手首も垂直に曲げて「うらめしや~」の幽霊ポーズみたいのがデフォルト姿勢で、先生に指摘されてはじめて気づいた。
霊感ないのはわたしが幽霊だから?
人が人を見ても人感って言わないもんね。
デフォルト・レコーダー
録音の意味もわからなかったなぁー。
らくらく3日分ぐらいは思い返して一字一句間違えずに会話を再現できる自信あったから、わざわざ機械に頼る意味がわからなかった。会話を遡ればいいだけじゃない?って。
15歳ぐらいを境に聴覚から視覚優位にかわるって聞いたことあるんだけど、ほんとかどうかは知らないよ、でもたしかに子どもって意味のないリズムネタとか好きだし聞いたことよく覚えてない?
よく飽きないねぇ~ってくらい延々と耳に残る言葉や歌を歌い続けたり。
それがかわいげのなくなる思春期あたりでぱったりなくなって、思い出話なんかは情景描写が多くなる。
勉強も耳より目でするようになっているような…。
わたしの録音能力もだいたいこのころすっかりなくなったの。
優しさを欠いた情報簒奪者
………んっ?閑話休題。
苦しいときにそばにいてくれるのが友達だとすると、やっぱりわたしには友達がいなかったな~。
たいてい趣味があわないから話を合わせるのがめんどうで、愛想笑いで顔が張ってくるし~聞き上手だとおもってるでしょ?それただの戦略ですから。
話してるあいだは情報は入ってこない。
じぶんの話すことは知ってることだから。
聞いてるときに新たな情報がやってくるんだよ。ひとの情報だから。
わたしは情報の簒奪者。
「相談してよかった」:はなからじぶんで答えもってて賛同者ほしかっただけでしょ。
「なんでわたしの考えてることわかるの~?すご~い!」:あなたがわたしをわかる日はこないでしょうね。