あめみか

「雨はいつもわたしのみかた。」 … 思想・哲学・世迷言からイラストまで、多岐にわたってたいへんくつに綴っています。

政治家にすこしは見習ってもらいたい情報発信力

 『新世代が解く!日本のジレンマ 2018元日スペシャル 「根拠なき不安」を越えて』で望月優大さんが「不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~」という若手次官の作成したパンフレットについて触れていて気になったのでちょっとのぞいてみました。

 半年ほど前にネット上に公開されていっとき世間をにぎわせていたんですってね。知らなかったわぁ…。

 

試みへの私的評価…のようなもの

 後半に行くにつれ主張の重複が目立ち、内容もそう大したものではなく、「現代日本の問題点まとめサイト」的なもので、これを作成したのが若手官僚からなるチームによるものではなかったら、本人たちがインタビューで答えているように「ネットに埋もれて読まれな」かったことでしょう。

(このパンフレットが経産省からではなく外務省や財務省から出てきたのなら、その影響はもっと大きかったでしょうね~。)

 

 特に「んっ!?」とおもったのがp.44の「大統領選で最も信頼しているメディアは?」という米国の18歳以上3760人にインターネットを利用しておこなったアンケート調査の結果資料をあげているところ。信頼しているメディアについてたずねる調査をネットでおこなうような、そんな意見に"偏り"が出そうなちょっとあやしい資料をあげているところ残念だわ~。

 

汝の意志の格率はいずこに?

 たいした内容ではなかったといいましたが、官僚もちゃんと問題意識もっていたんだねぇ~、利己的なだけでなくちゃんとなんとか日本をよくしようと苦悩苦悶奮闘している官僚がいたんだねぇ~、ということを確認できたという点では"いい内容"であったし新奇性のあるおもしろい試みであったとおもいます。

 

 ただ、昔から入庁まもないころは意欲的だけど、そのうち変わらない・変えられないということを思い知らされ諦観をもつに至り、と同時に中堅または幹部への階段を上がっていくにつれ徐々に染まっていき、気づけば自らが若手の頃に批判的に冷ややかな視線を送っていた当の者になっていたというのがパターンだっていうからねぇ~。

 そんな昔から脈々と言われ続けていることではあるけれど、それでも方々から聞こえてくるのは「今の40代は〇〇(ピー:自重)だ」という声。もしかしたら現代はこれまでにもましてひどくヤバい状態なのかもしれませんね。

 

現代の政治家に必須のスキル!?

 内容は「現代日本の問題点まとめサイト」的なもので、よく知られた既知の問題でありますから、あらためて考えさせられたというところはあまりありませんでしたが、ただ一つ、「これって…」とおもうところがありました。それは…

 

 このような問題提起や論点整理(そしてさらには、できればその解決案や打開策)などをこのパンフレットのように視覚化して世に問うのは、ネット社会とさけばれるようになって久しい現代の政治家が本来になうことではないのかな?ということ。

 

 ネット社会・ソーシャルメディア台頭・席巻する今、政治家は最低限このパンフレットのように論旨や要旨をまとめてうまく視覚化し、世に広く提示できる能力やメディア戦略、アンテナ感度や時代性、情報発信力や自己演出力などなど…、そういったものが必要なのではないか。

 

情報発信力のボーダーライン

 このパンフレットはその基準というよりかボーダーライン。受験生の合否ラインのようなもので、最低限これぐらいのクオリティないとねっ!といったものだとおもうのです。

 

 このパンフレット以前に、このような「まとめスライド」的なものを公開している政治家がいらっしゃったとしたら、それは耳目を惹かないボーダーラインを割った完成度のものなんだとおもうよ。

 何千、何万もの票を得て当選している決して知名度も注目度も低い人物(←これはひとつの"メディア"といってもいいかもしれないね)というわけではないのに提示したものがなんの波風も立てないということは…やはりそういうことなんじゃあないのかい?

 

シルバー民主主義での忖度

 シルバー民主主義国ではそれさえもむずかしいのかなぁ…。

 

 「シルバー民主主義」なんて訴えたらシルバー世代の票を落として落選してしまうでしょうから"シルバー民主主義の中心でシルバー民主主義を叫ぶ"ことは自滅の道でしかなく、"サービス、サービス"の"ソンタク、ソンタク"で、選挙等には今なおソーシャルメディアなどのデジタル対策よりも街頭演説や地縁などのアナログ対策の方が今なお影響力があり効果的で優先されてしまうのでしょうかね。

 

 「シルバー民主主義」なんてことは口が裂けても言えないにしても、スマホやタブレットなど端末を使いこなすシルバーも増えてきていることですし、そうでなくても政治家がみずからの意見を広くわかりやすく提示することは責務のようなところがありますから、どうか政治家の皆々様におかれましてはこのパンフレット(の内容はおいといて、その形式)を参考にしていただきとうございます。