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あめみか

「雨はいつもわたしのみかた。」 … 思想・哲学・世迷言からイラストまで、多岐にわたってたいへんくつに綴っています。

原発推進政策はもはや説得力を失っている


あの頃のいつかが今来る

 「石油の一滴は血の一滴」

 資源のない国が石油を止められ「隷属か戦争か」の二択を迫られ大東亜戦争へと突入していったという苦い経験から、「未来のエネルギー政策」「再び資源を止められるようなことがあっても戦争をせずにすむよう自制のため、国防のため、抑止力のため」などなどの理由で推進されてきた原子炉建設。

 

 当時から賛否両極論あり、特に原子炉建設地の地元住民の声を抑えこむ根拠・論拠・口実として強権にはたらいてきました。

 しかしそれでもまだ男たちの主張する原子力政策推進にやや分があったように思います。

 

 というのは、石炭から石油へのエネルギー革命、中東戦争による石油価格の不安定化、そしてオイルショック。こういった国際情勢が原子力政策の追い風となり、正当妥当性を高め、地元住民以外の世論を形成していきました。

 

 政府は原子力は安全だと必死に宣伝していましたが、当時からその言葉を信じるひとはほぼ皆無。

 原子炉建設地地元住民以外のひとは「原子力は危険かもしれないけれど、エネルギーのため、ひいては国防・国益のためなくてはならないもの。表立っては言えないけれど多少の犠牲はしかたない。必要悪だ。」と暗部を宿しながら自らも相手も納得させてきました。

 そして原子炉建設地地元住民は「原子力はこわいけれどエネルギーのため、国益のため、そしてなにより、なにもないこの地に雇用や産業、補助金を集めて地元を活性化させるのにこれほど有効な手はない。」といった苦渋の選択、切実な希望を託して、あるいはその地の代表者に説得されて。

 

原発の経済効果

 原発建設で建設作業員や原発職員が移住してきて人やモノが集まり雇用と産業を刺激して町が活性化。

 これは"経済効果"の見せる蜃気楼。地域や年限を狭めてみれば確かに目にも明らかに数値として正の効果が認められることでしょう。

 しかし経済効果をはかる圏域を地方あるいは全国にまで広げ、また経済効果をはかる期間を数十年あるいは何百年にまで伸ばしてみれば、これまた目にも鮮やかに数値として負の効果が認められることでしょう。

 

 短期狭域では利益が上がっているようにみえるのは、一時の偏り、ただの資本の移動が活発な範囲に限定して数値報告をあげているからでしょう。

 周辺の負の効果が認められるところを切り捨てて正の効果が認められるところだけを見るよう・見せるようにしているからってだけ。

 

 夢見ていたのは「原子力による国内資源問題の解決」よりも「原子力安全神話の説く安全な世界」と「原子力信仰による恩恵」の幻想。

 

原発幻想史

 「原発は必要」の潮目が変わりだしたのは国内外で相次ぐ原発事故とそれによる他国の原子力政策の転換。

 巨費を投じて稼働させてみてもまともにはたらかず、点検整備を重ねて再稼働してもすぐまた停止。核廃棄物処理問題は当初からあやふやでこれはどうもコストばかりかかって安全でもない。うすうす夢だとはわかっていたけれど、ほんとうに夢だったのかぁ…という現実の喪失感。

 

 それでもまだまだ。まだわからない。これで原発の有効性が全否定されたわけではない。だって「原発がうまく稼働すれば、構想通りに安全安定運転できれば」国益に適うはずなのだから。

 

 こうしてしぶとく延命されてきましたが、その思惑も挫き「資源のない国に原発は必要」の潮目を目に見えて決定的に変えたのは、やはり、東日本大震災でしょう。外国ではなくこの国でおきたメルトダウン。これで「うまく稼働すれば」の「うまく」の幻想も溶け落ちました。

 

 この潮流をさらに勢いづけたのは再生可能エネルギーの研究・開発の進展と、そしてなによりメタンハイドレートの国内埋蔵量と水圧破砕法などによる採掘法の確立でしょう。

 

原発退陣のとき

 「いつ起きるとも知れない、いつか起きるかもしれない危機に備え」てきましたが、この70年余り、アメリカさんの核の傘の下ではありますが、完全に資源輸入を止められるということもなく、戦争もせずやってこられました。

 原子炉よりも安全確実安定供給できるエネルギー源が見つかって、なおそれよりも原子力政策を頑なに首座に据えておく正当妥当性があるでしょうか?

 ここに至り原発推進にはあとどんな口実が残されているのでしょう?

 

 国防や抑止力のことを考えるなら軍事費に、エネルギーや資源のことを考えるなら再生可能エネルギーの研究開発やメタンハイドレート採掘に、これまで原子力政策につかわれていた予算をそちらにまわした方がより現実的で安全で確実な政策なのではないでしょうか?

 もう原発は代替案の座も経過案の座にも居座れないのではないでしょうか?

19兆円の請求書 ー止まらない核燃料サイクルー

 

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