あめみか

「雨はいつもわたしのみかた。」 … 思想・哲学・世迷言からイラストまで、多岐にわたってたいへんくつに綴っています。

遠くにありそうで実はチカクにある意識?


 『人間仮免中』に、意志薄弱で痛みを感じないだろうと見なして麻酔なしで手術が行われたけれど、そのときしっかり痛みを感じていたという話があります。

人間仮免中

人間仮免中

 

 

祖父の知覚

祖父のそば

 祖父が大病を患い、病状が悪化して急遽手術をすることになったときの話です。

 

 術後、薬の影響で意識朦朧となり場合によっては発狂して正気には戻らないかもしれない、とにかくそろそろ麻酔が切れて目を覚ます頃なのですが、ずっと看護師さんをつけておくわけにもいきませんので、だれか親族の方がついていてくださいと言われたそうで、ずっと病院に詰めていた叔母にかわり、後からのんきにノコノコやってきたわたしがその日一晩代わりますと申し出まして(夜更け近くだったと思います)見守ることとなりました。

 

 親族連が引き上げていくと、ほどなく目を覚まし、過去のある時点を生きているかのように、わたしの知らないだれかの名前を呼んで、体を起こして指示を出し、声が届いていない様子でそちらへと歩み出そうとしました。力では押さえ込めないので、幻覚のうわごとに話を合わせてベッドから起きあがらないようになんども誘導しました。

 

(そのときは「あぁ、もう正気にもどることはないんだなぁ」と思いましたが、その日が山場だったようで、意識は順調に回復し、とっくに切れていた余命宣告も更新して、「おやおやこれはひょっとするとこのまま天寿をまっとうしそうね」ということもおもわなくなってきたおよそ1年半後、死の直前まで入院することなくすごしました。

 このとき投与された薬は痛み止めのモルヒネなのかと思ったのですが、どうもそうではなかったようです。叔母と交代するときに一応聞いてみたら「なんて言ったかわからなかったけれどモルヒネではない」と断言しておりましたので。

 あれはなんだったのでしょう?) 

 

「誰も寝てはならぬ」

 そんなことを2時間だったか3時間だったかくり返し、見守りの交代を申し出てはみたものの、その日わたしは朝から一日中庭の草をむしっていて、連絡をうけてそのまま病院にむかったしだいで、「徹夜はかなわないなぁ」と、誰に対してもそうですが情が薄いものですから、わたしが眠った後おじいさんがベッドから落ちて打ち所が悪かったり、どこか鋭利なところで自傷して亡くなってしまっても、「まぁそれが運命だった」ということでいいにしましょうと一人決め込んで、「ええぃままよ」と眠ってやることにしました。

 だれかと話ながら歩き出そうとしている姿を眠りに落ちる直前にも確認しておきながらも…

 

「ここに座っていなさい」

 5・6時間ちゃんと眠った後目が覚めますと、運よく何事もなく、おじいさんも眠っていました。

 

 こんな出来事があった1年ほどしたある日。

 どんな会話の流れだったか、あのとき意識があってちゃんと覚えてもいるとふいに言ったのです。

 こちらとしては当然意識もなく記憶もしていないだろうと思っておりましたので、その場にいた者はみな驚いたものでした。

 うわごとで言っていたことも覚えていて、やはりそのとき見えていたのはある日のある一場面だったそうです。旅行か何かで船に乗り込む前の点呼のとき?のような。

 なぜ嫁も愛人(いたかどうか知りませんけれども)も出てこないそんなさして特別ではない日を見ていたのか?

 

知覚のそば近くの知覚

 「おじいさん記憶力抜群によかったからなぁ~」って、そういうことじゃない。

 「なにを今頃になってぇ~言いなよぉ」って、詳細に語られるとわたしの立場危うかったんですけれども。そこはおじいさんの気づかいだったのかな?

 

………

 

 長々と昔話を語って何を言いたいかと申しますと、意識がなく認知していないようにみえて案外意識も知覚もはっきりしているのかもしれませんよぉということです。

 

祖母のそば

 祖母は晩年痴呆になりましたが、あれも理解はできているけれども前のようにうまく表現できなかっただけ、ひとより頻繁に記憶が細切れになりやすかったというだけなのではないかな?

 

 そうでなくっても知性は、ひとは奇跡を忘れっぽいでしょ?

 ジャイアントインパクトが5回ほどではなく地球の公転軸の傾きが今のようでなかったら…生物が5回ほどの大量絶滅を乗り越えてこられなかったら…そんなバラバラの時計が組み上がるほどの確率でたまたま立ち上がってきただけだというだけなのに地球の主役面、知格を従える主人然としています。従属関係逆なのかもしれないのにね。

 

………

 

 「おとうさんはそばがきが好きで、小さいころひとりこねて砂糖をすこしまぶして食べててねぇ~食べたかったなぁ。」

 「おかあさんは料理があまり…というかだいぶにがてでねぇ。いっつもいっしょ。なにが得意料理なのかわからない。好きな食べものも知らない。」

 

祖母の知覚

 いつどんなきっかけで知ったのか、おじいさんはメロンパンが好きだったようですが、おばあさんはなにが好きだったのか?聞いたところでいつもあやふや。甘い方がいいのかしょっぱい方がいいのかそれすら答えない。結局わからずじまい。

 食にあまり興味がなかったのでしょうね。このあたりおばあさんに似たのかな?