クッキーの誘惑
親族の葬儀のとき、式を執り行ったお寺さんから(第二?)精進落としのために近くの公民館に行く道すがら、荼毘に付している間の(ぼんさんいてないけど第一?)精進落としのときに失敬しておいた大小二つのクッキー、これを大きい方のクッキーは見せずに「ほしいかい?」と聞いて手渡しました。
そして第二波。
「じゃあ妹(といってもまだベビーカーでクッキーをほしがるような年ではないですが)にはこれあぁげる」と大きい方のクッキーを見せるとすかさず兄「そんなに食べられないから交換っこしよ」と妹の返答を待たずに紳士を装って物腰柔らかくトレード。
予想通りではありましたが「あまりお菓子を食べるんじゃあない」と日頃から躾ているようで、すぐには開けずとっておく。
すぐに食べるとおもったのにここは予想外。抑揚の効いた賢い子ねぇ。
賢い少年
それから数年後、すこし成長した少年が妹と、もう一人の妹とともに電車や新幹線やバスなどいくつもの乗物を乗り継いで遠路遊びに来てくれました。
そして一緒にスーパーへと買い物に行ったとき、ふだんはポンッポンッカゴのなかに入れられないのでしょう、またわたしが「いいよ」と言うのをきっと見越しているのですが、「これ入れようかなぁどうしよう」とつぶやいてみたり、車型のカートに乗っている妹に向かって言っているふうを装ってみたりなんかして反応をうかがう。
少年の目論見通りの反応をして「入れちゃえ入れちゃえ」とそそのかす。
小さい妹の乗る車型のカートを押している母親にカゴのなかをみられてちょっと焦る少年。
わたしが「入れちゃえ入れちゃえ」と言ったから~と言い訳するかとおもってちょっと遠くから観察していましたが、すこしも言い訳しない。
こっちに遊びにきているときには怒らないでと両親に言ったことがありますが、言わなくてもおおらかで叱っているところをみたことはないんですけれども、そもそも叱る必要がないのでしょうね。子もおおらかでありながら正義感あつく育っているわ。
少年がカゴのなかの甘いものをもどそか入れとこか…
もどそうとしてるところ再び近寄って「入れちゃえ入れちゃえ」と今度は率先してカゴに入れてみせる。母親の目に付くように。
これでめでたくお買い上げ。
言い訳しなくてえらかったねぇ。
言葉にはしませんけれどもひっそり一人感心。
はじめに車型のカートが2台しか残っていなくて、それにためらいもなく妹を乗せて「ぼく引くひとぉ~」というところから感心してましたけれども。
魔女の罠
こんな具合にわたしは小さい子をあの手この手でこっち側のダークサイドに引きずり込もうと画策暗躍しております。
いい子をちょっと汚したいの。
というのもいい子はいい子だから身動き取れなくなることがあるでしょ?
してはいけないことは家や学校で教わればいい。
してもいいことを知ってほしいから。
費用も距離も時間もかかるようなところだけれど、それでも逃げ場があることを知っておいてほしいから。
幼稚園の先生が子どもの両親の世代に流行った歌をオリジナルのフリつきで教えてくれるようで、それをオンステージたくさん披露してもらいました。
その先生は若い先生だということですが、子どもと親が共有できるものをと心遣いできることがすばらしいとおもいました(ただ自分が好きだからなのかもしれませんけれども、いい方に解釈しましょう)。
今は岡村孝子さんの『夢をあきらめないで』を習っているという年賀状を頂きました。