あめみか

「雨はいつもわたしのみかた。」 … 思想・哲学・世迷言からイラストまで、多岐にわたってたいへんくつに綴っています。

ドグマ・ドラマ - 所有権

ドグマ?まさか。

ドグラ・マグラ

ドグラ・マグラ (上)

 

 

 所有権というものはだれひとりとしてわかってはいないのですが…只今所有権好調増殖拡大中。

 

所有権ドラマ開演

 この↑講演の中でクシファラスさんはこのようにおっしゃっておられます。

 ところで、所有権においては、現実の利害関係と法制度しか問題になりません。長い時の中で繰り返し用いられ、理屈が積み重ねられて行くうちに、法に関する実務は多くの語彙とそれに対応する語義を身に付け、それらを自明の事柄として人々が分かち合うようになると、制度の不変の要素もしくは恒常的な要素となるに至ります。(中略)彼等法律家は、自らが生み出し適用する規範ともみなし得る概念をも生み出すのです。(中略)この法の「概念的要素」の方は、法規犯や法実務と同じ時間性の中では推移せずに、長い時間をかけて展開して行きます。ですから、この要素を扱うには歴史が頼みの綱になるのです。(14枚目p.335ー336)

 財産権の細分化や知的財産権といった新たな概念・語彙が落ち着きなく動き回ることであたかも動的平衡のように外堀を形成し歴史の中で姿形と市民権とを得て、擬制的に内堀・セントラルドグマを構造化してみせ所有権の本質の所在をひとに錯覚させています。

※「セントラルドグマ」を分子生物学の用語として使っていません。中心的な教義、本質といったニュアンスでつかっています。

 

 な~んてうそぶいているわたし自身よくわかっていないで、しちめんどくさい言い方をしていますが、どうやら「所有権の使用例はたくさんあって、その使用例についてはよく理解もされているのだけれども、所有権そのものについて知っているひとはいないんじゃぁないの?」と、言いたいようです。

 

思考深度 D∝VB

 こちら(※リンクが切れて見当たらなくなってしまいました:2017年1月7日現在)に「思考の深さは知っている語彙に比例する」とありましたが、上記↑のように所有権について考えていたら、語彙の拡張は知性の拡張ではなく正当性の拡張、あるいは裏付けの補強なのでは?とおもいました。

 それでわたしなら「思考深度∝既知語彙数」ではなく「思考深度∝既知語彙数✕有意味結合」とふくかなぁとおもいました。

 これを思考深度をD、知己語彙数をV、有意味結合をBとおき、「D∝V」や「D∝VB」と記述してみたらハッタリ…じゃなくて、張りボテ感ふんぷん…じゃなくて、格調高くみせかけられるかなぁ?

 

語彙絢爛

 語彙の絶対数が多ければ視野が広がり問題意識もわき、意識がむいて考えられることが増加して世界も広がるでしょうが、語彙同士が適切に組み合わされなければ無意味どころか余計な混乱を招きます。

 

 また、相手の知らない語彙を並べ立てても独りよがりになってしまってコミュニケーション阻害するでしょぉ?(↑セントラルドグマとか言っちゃってるアレみたいに)

ヱヴァンゲリヲン

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.

 

 

 反対に語彙が少なくても有意味で多様な組み合わせができるのであれば、単純明快にして深度を保った思考が出来るのではないかとおもいました。

モデルの永続性というものは、制度の歴史的継続性にではなく、所与のコンテクストにおいて練り上げられた概念化の数々に、新たな意味を与える解釈者の力量に体現されます。(中略)永続性の要素とは、モデルそのものであり、変化するのは、記述される現実に応じてモデルに結び付く意味合いなのです。(24枚目p.345)

 「概念化の数々」は概念を増産するの意ではなく「練り上げられ」て選抜された「概念」に意味を紐づけして意味を付加することであったり、紐を結び替えて新たな意味・概念としてパッケージしなおしたりする活動の多彩さのことであり、またそのような作業の継続性、モデルのデザインを変更する営みが「モデルの永続性」を担保しているということ…なのかな?

 

 そうするとぉ、深度・永続性には結合・組み合わせ・組み換えということも数に匹敵するファクターなのではないかとおもいました。

 

デザインの前に基本の確認

 こんなことをおもっていたときTEDのローマンさんの「旗のデザイン」のプレゼンをみていて、考えていた事柄の正反合のアウフヘーベンではない止揚→だからただの話の飛躍がおきましたとさっ。

 この↑プレゼンの中で「旗章学」、旗のデザインにおける5つの基本原則(北米旗章学協会による)が以下のように紹介されていました。

 

 原則1:シンプルであること

     (旗は子どもが何も見ずに描けるくらい シンプルであるべき)

 原則2:意味のある記号を用いること

 原則3:2~3種類の基本色を使うこと

 原則4:文字や紋章を入れないこと

     ((遠くからは読めませんから)何も書いてはいけない)

     (旗で表すものの名前を 書く必要があるならシンボルとして失敗)

 原則5:特徴的であること

 5つの原則、すなわちシンプルさ・深い意味、絞ったあるいは慎重に考えた色・特徴的であること・読めない文字は入れないこと。これらの原則はすべてどのデザインにもあてはまります。(中略)素晴らしい旗をデザインしたいなら、シカゴや ワシントンD.C.のようなカッコいい旗にしたいなら、まず紙に2.5cm×3.8cmの長方形を描くことから始めます。この小さな長方形にデザインを収めるのです。これには理由があります。

 1m×1.5mの旗が30m先のポールに掲げてある場合2.5cm×3.8cmの長方形を目から約40cm離して見るサイズとほぼ同じなんです。この制限を守ればデザインがとてもシンプルで魅力的になってみなさんも驚くでしょう。

 所有(権)も5つの原則を参考にして小規模で描いて、試行錯誤や実験してみてデザインしてみたらいいのではないでしょうか?

 

 子どもでもわかるぐらいシンプルで意味があって、転換や交換は2・3回ぐらいにとどめて、ピクトグラムのように(デザインをデザインを例にして説明するのはわれながらいかがなものかとおもいますが…)言葉の壁、言語の制約を乗り越えて、なおかつ特徴的な制度・概念。

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夢のセントラル

所有権は「原則として」完全なものですが、この原則の「修正」によって分割されるのです。はっきり言って、所有権の「本質」、「一般事例」あるいは「本性」といったものを識別する経験的基準などあるはずもなく、だからこそ、このような階層秩序化は常に恣意的なものなのです。(中略)私は「行動における概念」を記述できると考えますが、(中略)制度の一義的な定義づけを行うことを放棄する必要があるのです。(18枚目p.339ー340)

 所有権に関してなにかコンセンサスのとれそうなものをつくろうと画策しても頓挫することが保証されています。

 

ゼントラーディをデザイン?

 どんなセントラルも周辺を漂うもので、セントラルは夢か幻にすぎないのだとおもいます。

 

 感覚器官を失っていかに思考しうるでしょうか?

 脳に刺激を与えても人為的な刺激では想定内の思考しか喚起しないのではないでしょうか?

 

 コンピュータにおいて人の脳にあたるCPU(セントラル・プロセシング・ユニット)は予期する結果を返します。

 予期しない結果の大半は、感覚器官をもつ人の予期しない手順や使い方に起因しているとおもいます。

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セントラルをデザイン

 お金はただの紙片や金属片です。モノや価値や交換や富が漂うセントラルにお金が立ち現れてきたのではないでしょうか?亡霊のように。

 

 実存主義(サルトルさん)は「実存は本質に先立つ」と言います。

 セントラルドグマがないんです。

 engagementアンガージュマンでもなんでいいので、みずから人間のデザインをしてみませんか?所有権デザインしてみませんか?

 

 所有権をデザインした結果が現状なのでしょうけれど、デザインにおける5つの基本原則からどんどん遠のいていって、あまり見かけることはないのにどこでもつくられている市旗のようになってしまっているような気がします。

 投稿されたもの・考え得る案を一部のひとによって一つの旗・所有権に集められたミルウォーキー市旗のような雰囲気が…ルルスの円盤稼働中につき言葉や概念絶賛生成中!のような…わかりませんよ、わかりませんけれど…、なんだかそんな印象をうけるのです。

 

 「ルルス-リリス-ルルーシュ」←なんっの意味もありません。リュイさんの口から紡がれた、ただの呪文です。それでは「バルス」。

ラモン・リュイ - Wikipedia

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締まりのない結び目

 ロックさんのあげる所有権の要件はシンプルで特徴的だとはおもいますが、色というか意味というか、自然状態や労働がボトルネックで、なおかつキリスト教というかプロテスタントのドグマがセントラルにありますし、でもでもよいデザインであったからこそ、これだけの広がりと持続をみせているのでしょうし…、ん~っ。

Department of Humanities - 豊田工業大学 人文科学研究室

 冷戦以後、かつてのような思想・哲学の世界への影響力は影を潜め、所有に関しても法哲学より法制がトレンドなのでしょうし、そのような動きもドグマの轍を踏むと断罪されるのは必至ですが、もっと法哲学への目配せがあってもいいのではないでしょうか?

 

 もしかしたらもう法哲学界のフォンタナさんがいらっしゃって、それをカルダーノさんが聞き出してもいるのですが、フェラーリさんが現れないから(所有権あるいはセントラルドグマの)『アルス・マグナ』公刊前なのかな?

 「タルタ~リアさ~ん。秘匿しておくより公表してしまった方が晩年くるしまないとおもいますよ~。後年、公式に冠せられる名がカルダノとかフェラーリとかなって存在感稀釈されちゃいますよ~。」

アルス・マグナ - Wikipedia

 

 (法)哲学の復権や台頭を望んでいるわけではまったくありませんが、灯台なきLighthouse keepersばかりで、あまりにも実を取ることばかりに執心な風潮に、ちょっとかわった風が吹かないかなぁと、所有権がRight(house)なLighthouseなら、いまよりおだやかな社会になるんじゃないかなぁとおもう木枯らしの昼下がり。

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